飲食店やご家庭で天然の天日塩や岩塩を好んで使われる方は多いと思います。それでは、天然ではない塩が何なのか?疑問に思ったことはないでしょうか。天然ではない塩は精製塩と呼ばれ、私たちのミネラル不足の原因の一つになっています。精製塩はその名の通り、精製された塩ですので、海水を精製する段階で主要なミネラル(生命維持活動に必要な主要ミネラルと微量ミネラル)を取り除いています。
この記事は、ミネラルバランスを向上させることに効果的な天日塩(てんぴじお)と精製塩とは何なのか纏めています。また、天然の塩の生産や関わって来た歴史について理解することで、塩のミネラルとしての生体組織と生理機能への重要性が分かるようになります。
塩は生命活動を維持する為に必要なミネラルを含んでいますので、皆さんが食されている塩について理解を深めて頂き、健康的な食生活の一助になればと思います。
▸ ご自宅で精製塩を使っている方
▸ 体の調子が何となく悪い方
▸ ミネラル系のサプリメントを利用されている方
なぜ塩選びが大切なのか?

天然の塩には、私たちの身体を正常に機能するため栄養素である ミネラル を多く含んでいます。ミネラルが不足すると身体に不調が出てしまいますが、私たちの不調のほとんどの原因は水とミネラルが不足することで起きる、身体の渇きであるとも言われています。ノーベル賞を2度受賞した、ライナス・ポーリング博士はミネラルについて次のように述べています。「全ての病態、全ての病気、全ての病弊を追求すると、ミネラル欠乏に行きつく」
現代人のミネラル不足による欠乏症の原因は本当に様々ですが、外食などで精製塩が良く使われていますので、ご自宅では天然の塩を利用することをおすすめします。
天日塩ってどんな塩?非加熱で熟成された塩が身体にやさしい

自然の太陽光と風で、海水をそのまま天日干しにして、結晶化させる塩を天日塩と呼んでいます。天日塩は自然の恵みをそのまま頂くことが出来ますので、良質なミネラルや酵素を多く取り入れることが出来ます。加熱処理をしていない天日塩は、熱に弱い微量のミネラルもほぼ自然界のミネラルバランスに近い状態で摂取することが出来ますし、さらに非加熱の場合は酵素も死活することもありません。
日本で製造されている塩は加熱処理やイオン交換膜で精製された塩が大半を占めていることが現状です。加熱処理やイオン交換膜で精製された塩は精製塩に分類され、製造工程で様々な処理を行うことによって必要な栄養素は失われてしまします。自然の栄養素をそのまま取り入れることが出来る天日塩を選んでみてください。
▸ 自然界のミネラルバランスに近い状態で栄養を摂取できる
▸ 加熱処理をしないので酵素が死活することが少ない
塩(ミネラル)と生理機能の関係
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塩(ミネラル)は身体の生理機能に大きく影響をしています。身体のミネラルが不足してしまう事を栄養失調や新型栄養失調と呼ばれますが、代表的な症状として「疲れやすくなる」、「むくみ」、「肌・爪・髪の状態が悪くなる」など様々です。これは、神経伝達物質の生産不足、血行不良、免疫力低下、体内の水分調整不良、タンパク質の合成が不足するなど、身体の生理機能の低下が起因しています。
何となく調子が悪い方はミネラル不足を疑ってみてください。日々の生活の中でミネラルを補給する方法は様々ですが、私たちは水と塩からミネラルを補給していますので、品質の高い天日塩や水を選択することが自身の健康の重要な要素です。
▸ 神経伝達物質の生産
▸ 血行と免疫力の向上
▸ 体内の水分調整
▸ タンパク質の合成
塩の作られ方をチェックしましょう | 天日塩◎ 精製塩×

塩の作り方には自然結晶、加熱(平窯・立窯)、イオン交換膜、逆浸透膜の大きく4つの種類があります。
自然結晶の『 天日塩 』が一番良いことは言うまでもありませんが、栄養素をなるべく損なわないようにする製造方法が加熱処理(平窯・立窯)と逆浸透膜による製造方法です。
食べる用の塩の作られ方で一番問題のある『 イオン交換膜 』で製造された塩は利用しないようにしましょう。このイオン交換膜はナトリウムイオンと塩化物イオンを選択的に濃縮する為にその他のミネラル分が極端に少なくなります。
イオン交換膜で製造された塩を『 精製塩 』と呼んでいます。精製塩は、一般的な食塩と比べて純度が高く、不純物や微量元素の含有量が少ないため、食品や医薬品、化粧品の製造の材料として使われています。
「食事は薬であり、薬は食事である」
(”Let food be thy medicine and medicine be thy food.”)
“ヒポクラテス”
▸ 天日塩:自然界の海水と風のみで自然結晶させた天然の塩
▸ 精製塩:海水をイオン交換膜などで人工的に精製した塩
天日塩は海水を自然結晶させる天然の塩

それでは海水と天然の塩について考えてみましょう。
雨として降った水は時間をかけて土壌を通り川に流れてやがて海にたどり着きます。山に降った雨と海の水が交じり合い、地球の栄養分を多く取り入れた海水の成分は77.9%が塩化ナトリウムで残りは栄養豊富なミネラルと呼ばれる無機化合物で構成されることになります。
対して、人為的にミネラルを排除した精製塩は塩化ナトリウム99%以上となり、その他のミネラルはすっかり排除されて食品添加物を加えられる物もあります。
結果的に精製塩のみを食塩として摂られる方はミネラルが不足してしまい、生理機能の低下を引き起こす原因となります。
▸ 天日塩:塩化ナトリウム77.9%以上と栄養豊富なミネラル群
▸ 精製塩:塩化ナトリウム99%以上と食品添加物
歴史から見る塩の使われ方と重要性

学術的な説明では理解が進まないと思いますので、昔の人は塩とどのように付き合っていたのか?また動物は塩をどのように摂取しているのか?生物、民族的な視点で事例をご紹介していきます。
それでは生物は塩とどのように向き合っていたのか、現代のように塩の大切さが学術的に説明されない時代であっても人間を含めた生物は自然の塩がいかに生命活動に必要な栄養素であるか知っていた事になります。
ここでは3つの事例を紹介します。
古代ローマ人と塩の関係
紀元前700年〜400年頃、塩は古代ローマ人の給料であり、「sal」と呼ばれていたそうです。現代では給料をサラリーと呼んだりしますが語源は「sal」から来ているようです。このように塩は貨幣と同等の価値があった事が説明できます。
動物たちの自然の塩場
私たちにはあまり馴染みがありませんが、自然界には天然の塩を摂取できる塩場と呼ばれる場所があります。塩場とは岩塩が露出した場所や塩とミネラルを多く含んだ湧水を指し、動物たちは定期的に摂取を行うようです。この行動は生命を維持する為に塩とミネラルが必要であることを本能的にわかっており、親から子供へ受け継がれる行動であることがわかります。
日本の塩の歴史

日本の塩の歴史を辿ってみると狩猟生活が終わり穀物を主体とする食事、農耕が始まった頃には塩の生産が始まったとされています。狩猟生活は動物の肉を食することで塩分の獲得が出来、さらに海産物にはもちろん海水から出来る塩を多く含む為塩とミネラルの獲得が容易であることがわかります。
一方穀物主体の生活では塩とミネラルの獲得が難しくなること、さらに植物には多くのカリウムが含まれていますので、余ったカリウムを体外に排出するためにナトリウムが必要となります。古墳時代から塩の生産が始まったとされていますが生活様式の変化に合わせるために塩の生産が必要になったこと考えられています。
それではどういった方法で塩は作られるのでしょうか。
塩の生産は弥生古墳時代は藻塩焼きと呼ばれる焼いた海藻の灰を利用した製法が用いられていた様ですが、中世から近代にかけて塩田を用いた様式に変わり、昭和30年頃まで約400年に渡り日本独自の製塩方法として発達しました。現代にかけて多少の機械化はありましたがここで生産されていた塩は海の恵みを多く含んだ天然の塩です。
お分かりの方もいらっしゃると思いますが、ここまでが日本人が民俗的に生産をして来た、日本の天然の塩の歴史です。
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