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有機栽培(オーガニック)やJASマーク農作物の罠 | 有機栽培≠無農薬

あなたが食べているオーガニック食品に、化学肥料や農薬が使われていたらどうしますか?本来、有機栽培(オーガニック)は、自然界に存在する有機物のみを利用して、人工的な肥料や農薬を使用しない方法で、作物を育てる方法のことです。ただし、日本では農林水産省による認証基準が存在し、少し例外があることも事実です。具体的に、実際には有機栽培と表示されていても、特定の条件下では農薬の使用が許されています

(※JCPA日本農薬工業会のホームページに詳しく説明されています)

この記事では、有機栽培、無農薬栽培、低農薬栽培、自然栽培など、これらの言葉の定義を明確にすること、どの農作物を選ぶべきか纏めています。安心な食品を選ぶことは重要ですが、それを求めすぎると、食事のバリエーションが減ってしましますので、本質を理解した上で食事を楽しむことをおすすめします

農作物栽培の究極は、人間は手を加えずに、自然の力(太陽や土壌の微生物、虫など)の力で育てる方が良いと思います。そういった究極の農家さんの助力になれば幸いです。

監修者
青栁 友世 tomoyo aoyagi

薬剤師歴10年・減薬歴相談5年。薬剤師、国際中医師の資格を所持。減薬と漢方相談のカウンセリングを行う『Cosmo Life Aid合同会社』代表。研究職と調剤薬局薬剤師の経験を経て、精神科薬の減薬相談や漢方カウンセリングの活動を行う。心身一如を基本とした食養生セミナー(水・塩・油)を開講。食養生の観点から無添加調味料のWebショップ『さしすせそ&』を運営。

日本の「安全とされている」農作物の基準

JASマークは農林水産省の基準です

有機野菜(オーガニック野菜)が無農薬栽培であり、安心安全と勘違いをして購入されている方も多いと思います。私も自然栽培や自然農法で育った農作物を知るまでは、有機野菜(オーガニック野菜)が無農薬であると、勘違いをしていました。

JASマークは安全性を証明する認証マーク

こういった農作物にはJASマーク(農林水産省が定めた品質基準をクリアした農作物)がついたものが多く、消費者は安心して購入していますが、そもそもJASマークがどういった証明なのかご存じないのではないでしょうか?

JASマークは、日本農林規格(Japanese Agricultural Standards)の略称であり、農産物や食品の品質や安全性を示すために使用されるマークです。JASマークは、農林水産省が定めた基準に合格した製品に与えられます。

私の理解:JASマークが付いていない農作物よりかは、比較的安全である

JASマークは本当に安全なのか?

最近はスーパーに行くと、有機野菜あるいはJASマークのついた農産物が置かれている、有機野菜コーナーが増えてきました。自然食品店などでも有機野菜は数多く置かれていますし、そういった野菜にはJASマークというシールが貼られていたり、印刷がされていたり、有機栽培農産物と書いてあったり、オーガニックといった文字の記載があったりします。

こういった表記を見てしまうと、スーパーに普通に並んでいる野菜よりも、手をかけて安全に作られた野菜であると錯覚を起こします。国の安全基準を満たした野菜は、本当に安全なのでしょうか?

みんな大好きJASマーク

農水省が定めた農作物の種類

JASマークの認証を得るためには、いくつかの条件を満たさなければなりませんが、主に2つの条件を満たす必要があります。

その他にも細かな条件がありますが、このような認証を得て、初めて「有機栽培農産物」と呼ぶことができるようになります。認証を得ていない農産物で、農薬と化学肥料を使用しない場合は「特別栽培農産物」と呼ぶことしか認められていません。

JASマークの認証基準
  1. 農薬の使用期間について、野菜の場合は作物の種をまいたり苗を植えたりする日からさかのぼって2年間は禁止された肥料および土壌改良資材を使用していないことを証明しなくてはなりません。
  2. 隣の畑などから農薬が飛散してこないように距離を置いたり、農薬に接触しないように対策を講じる必要があります。

有機栽培って無農薬栽培じゃないの?

有機栽培の定義

販売されている農作物のうち、「有機栽培農産物」と表記がある場合であっても、すべてが「無農薬栽培」ということにはなりません。有機栽培農産物でも「無農薬」という表示がない限りは、無農薬ではない場合がほとんどですし、有機栽培でも使用できる、または許可されている農薬はたくさん存在します。

さらに、農作物の栽培に利用する肥料の場合であっても同様です。化学肥料ではなく有機肥料であれば安全だと思い込んでいる人も多いようですが、有機肥料だからといって安全とは限りません。消費者が気をつけねばならないことは、農作物を育てている土地、場所、環境、生産方法に少しでも気を使うことがポイントです。

有機栽培農産物の中にも化学薬品を使ったものもありますし、消費者が考えているほど、手をかけて安全に作ったとも限らない場合もあります。見た目が良く、味が良く、大量に作ることが、生産の目的だったりもします。

安全を見極めるポイント
  1. 有機栽培でも許可されている農薬がある
  2. 見た目が良く、味が良いものは要注意

有機栽培に利用される肥料について考える

有機栽培で使用する肥料には、家畜排せつ物を発酵させた「動物性堆肥」と、食品の残飯や枯葉、糠油粕など植物性の資材を発酵させてて堆肥化した「植物性堆肥」があります。

動物性堆肥はその動物の育て方が重要

動物性堆肥を利用する農法は、畜産から出た排泄物を発酵させた後に畑や田んぼに使用するという農法ですが、家畜の排せつ物が資材となっていることから、どういった飼料を食べていたかで堆肥の安全性が変わってきます。例えば草しか食べていない牛なのか、穀物を食べていた牛なのか、そういったことによって全く違う肥料になりますし、家畜の育ち方まで見ないと、その良し悪しが判断できないということになります。

広大な牧草地のある国では、放牧だけで育つ牛もいますので、これらの牛の排泄物は元々が草です。牧草自体にも農薬や肥料を使用することはあまりありませんので、とてもクリーンな排泄物と言えます。対して、狭い畜舎に閉じ込められて、早く大きく育てるために穀物飼料を与えられ、動くこともままならず、成長ホルモンなどを与えたり、あるいは病気の食肉を市場に出さないために抗生物質などを使用したりしている牛の排泄物となると、肥料としての品質はどうでしょうか。

動物によって、あるいはその動物の育て方によって食べているものが全く違いますので、当然その排泄物の内容も違い、そして肥料となったときでもその成分も変わります。

植物性堆肥は排出先が重要

植物性堆肥の場合には、枯葉、糠や油粕は使うのか、作物の残飯や野菜くずから作られた肥料なのかによっても違いますし、その元になる野菜くずがどこから出たものかによっても違います。家庭から出たものであれば、通常の野菜ゴミなどが多いと思います。

ここでお伝えしたいことは、動物性堆肥を使っているとか、植物性堆肥を使っていると言っても、その元が何なのかによって全く違ってくるということです。有機栽培の影の部分なのかもしれません。

有機栽培に認められた農薬とその矛盾

冒頭で少し触れましたが、JCPA農薬工業会のホームページには、「有機栽培の表記であっても、一定の条件下であれば農薬を使うことは可能です。」と表記があります。意味不明ですが、一定の条件下で使える農薬の数はかなり多く、農薬の分類で37種類、製品だけでも47種類以上あります。これらの農薬は、基本的には天然由来とか微生物資材が多いのですが、中には化学農薬とさほど変わらない様なものも含まれています。

有機栽培は化学農薬を使用されていないと消費者は思っていますが、現実的にはかなりの数が使われています。ちなみに、JAS法の認証制度では、こうした農薬を全く使用しなかった場合にのみ、無農薬と表記できます。

実はこの無農薬という表記も、JAS法の有機認証制度を得ていない限りは、本来は表記してはいけない規則となっています。つまり、こうした表記は政策的な抜け道として表示されることがありますので、そのまま信頼出来ないことが現実です。結果的に通常の農産物とあまり変わりがなく、農薬を大量に使用してしまえば、有機栽培だからといって安心できないわけです。

JASマークより、何より大切なことは、生産者、栽培者を知ることだ、ということを覚えておいてください。

この記事のポイント

✓ 有機肥料の中にも安全なものと危険なものがあり、有機肥料だから安全と思い込むことは間違い
✓ JASマークの認可には厳しい基準が設けられているものの、その基準を満たしているからといって安全とは限らない
✓ 本来、有機栽培や無農薬と名乗ることが出来ない農作物でも、これらの表示が、抜け道的に使われていることがある

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