皆さんはご家庭での調理に、テフロン製のフライパンを使ってませんか?
安価なもので数千円程度で買うことが出来て調理しやすい。肉や魚などもくっつきにくく、卵料理や炒め物など油が少なくても調理できるのでとても便利です。しかし、安くて便利だからといって使っていると、ご自身や家族全員の健康を損なってしまう、そんな事実をご存じでしたでしょうか?
この記事では、テフロン製のフライパンの危険性と危険を回避するための方法が分かります。ベストな方法はテフロン製のフライパンを使わないことですが、利便性や価格メリットがありますので、買い替えが難しい方は危険性を理解して正しい使い方をおすすめしています。
テフロンとは何か?

「テフロン」とは、アメリカのデュポン社が商標登録しているフッ素樹脂加工の一種です。
一般的にはこの言葉が広く使われています。テフロン製のフライパンは、スーパーやホームセンターで1,000円程度から販売されており、料理がひっつかないために多くの人に便利な調理器具として使われています。しかし、このテフロン製のフライパンには、その安価で便利な面とは裏腹に様々な危険が潜んでいます。
最近の水質問題でPFASが取り沙汰されますが、このテフロンにはPFASが含まれています。
※PFAS:ピーファスと読みます。
PFASはフッ素化合物の総称です

日本の地下水で問題になっているPFASは、有機フッ素化合物の総称で、PFOSとPFOAはその中でも最も広く生産され、研究されている化学物質です。PTFEはPFASの一種であり、テフロンで知られる非粘着性コーティングの製造に使用されます。
PFASの素材としての特徴
PFASは、熱に強く、電気を通し、水や油を弾き、燃えにくく、汚れを防止するなどの特性があります。そのため、フライパンの表面処理剤、自動車のコーティング剤、消火器に含まれる消火剤などに使用されています。日本では消火剤の利用が問題になっていますね。
PFASは自然界では分解されず、海や土壌に堆積することで、循環系に長期間残存し続けます。そのため、人体や環境に対しての有害性が指摘されており、世界的な環境問題として注目を集めています。
人間は自然の一部ですので、人体でも分解されずに留まり続けるのかも知れません。それではテフロンの危険性について見ていきましょう。
危険性その一「PTFEの使用」

フッ素加工樹脂の中で最も多く使用されているのが「ポリテトラフルオロエチレン」、通称PTFEです。このPTFEはプラスチックの一種で、加熱調理をしても食材が「ひっつかない」ため便利です。
しかし、熱や摩擦に非常に弱い為に、260℃以上の高温になるとテフロンコーティングが剥がれてしまったり、金属のフライ返しを使ったり、たわしなどで洗うとすぐに剥がれてしまいます。調理中にテフロンコーティングが剥がれてしまうと、食べ物と一緒に私たちの口の中に入ってしまいます。
毎日口に入っても吸収されずにそのまま排出されるため、人体には影響がないと言われています。一方、「マイクロプラスチック」や「ナノプラスチック」は、近年その危険性や環境への影響も指摘されていますので人体に影響がないと言われても、鵜呑みにしない方が良いかもしれません。
危険性その二「有毒ガスの発生」

最も怖いのは有毒ガスの発生です。テフロン製のフライパンは、360℃まで加熱すると有毒ガスを発生することがわかっており、その危険性が指摘されています。このガスを吸い込むと、「ポリマーヒューム熱」というインフルエンザに似た症状を引き起こすことがあります。
さらに、呼吸困難や吐き気、頭痛、めまいなどを引き起こすことがわかっています。過去に神奈川県が行った実験では、カセットコンロでフライパンを加熱すると、5分で370℃に達し、400℃を超えると熱分解が落ち、423℃でガスの発生が認められたということです。そしてこの有毒ガスは、目視では見えないことが判明しました。
くれぐれもテフロン製のフライパンの空焚きはしないようにしましょう。最近よく見かけるマーブルコートやダイヤモンドコートもPTFEなので注意が必要です。
危険性その三「PFOA・PFOSの使用」

テフロンコーティングをする際に接着剤の役割として使用されている、ペルフルオロオクタン酸,、通称PFOAは自然界には存在しない人工的な化学物質です。
2005年にアメリカの環境保護庁がPFOAの深刻な問題を指摘しています。これによると、PFOAは一度口に入ると排出されにくい性質があるため、体内に蓄積され、長期にわたり摂取すると、免疫力の低下や発がん性があることも指摘されました。さらに、自然界では分解されずに残留し、有害物質として環境汚染が危惧されています。
また、ペルフルオロオクタンスルホン酸、通称PFOSも、同じ危険性があると指摘されています。このPFOSは世界的に規制の動きが進んでおり、アメリカでは2000年から、EUは2006年から、中国でも2019年から規制が始まりました。日本ではさらに遅れて2021年10月にようやく規制されることになりました。
2021年から1年の間にフライパンを買い換えた人は、PFOAやPFOSは使用されていない可能性が高いですが、それ以前に買ったものを今でも使っている人は、すぐに買い換えてください。
危険性その四「マイクロ(ナノ)プラスチックを含む」

テフロンなどのフッ素樹脂加工のフライパンに傷がつくと、何と230万個のプラスチック粒子が料理に放出されるということが分かっています。
2022年にオーストラリアのフリンダース大学が行った研究によると、テフロン製のフライパンを使った調理中に、フライ返しでコーティングに小さな傷がついただけでも「30秒間に9,100個」のプラスチック粒子が料理に混入しました。さらに、コーティングが壊れた場合には「最大230万個」のプラスチック粒子が放出されることが分かり、世界的に大きなニュースとなりました。このマイクロプラスチックは、先ほど紹介したPTFEの他にPFOAも含まれており、様々な健康被害が懸念されています。
できるだけテフロン加工やマーブル加工などのフライパンを避けることや、使うとしても傷が付かないように慎重に料理をしたり、洗う際も傷が付かないように注意する必要があります。
テフロン製フライパンの安全な使い方

基本的には使用しないことをおすすめしますが、利用する場合は正しい使い方が必要です。
フライパンの熱しすぎに注意する
フライパンをよく温めて調理するような料理、例えばステーキやチャーハンなどを作るのはできるだけ避け、火力は中火か弱火で料理するようにしましょう。温度が400℃を超えると有毒なガスが発生する恐れがあります。
金属など硬い調理器具は使わない
金属のへらなどを使うとフライパンに傷がついてしましますので、大量のプラスチックを放出し、料理の中に混入する恐れがあります。できるだけ木製のへらやシリコン製の網など、傷がつかない調理器具を使いましょう。
洗う時は常温まで冷ましてから
調理後の熱い状態で冷水をかけると収縮差でテフロンが剥がれやすくなります。しっかりと冷ましてから洗うようにしましょう。
環境と体にやさしいフライパンを選ぶ
これからフライパンや鍋を買い替える方はPTFE、PFOA、PFOSフリーと記載されたフライパンを選ぶようにしましょう。
テフロンコーティングの寿命は半年から1年となっていますので、既に1年以上使っている人は買い替えをおすすめします。環境に優しい「鉄製のフライパン」を選びましょう。おしゃれで使いやすいものも多いですよ。
テフロンの闇がわかる社会派サスペンス映画
1998年、オハイオ州で働く企業弁護士ロブ・ビロット(マーク・ラファロ)は、思いがけない調査依頼を受ける。パーカーズバーグで農場を営むウィルバー・テナントが、大手化学メーカー、デュポン社の工場からの廃棄物によって土地を汚され、190頭もの牛を病死させられたというのだ。
さしたる確信もなく、廃棄物に関する資料開示を裁判所に求めたロブは、“PFOA”というワードをきっかけに事態の深刻さに気づく。しかし強大な権力と資金力を誇る巨大企業との法廷闘争は、真実を追い求めるロブを窮地に陥れていくのだった…。
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まとめ
環境ホルモンの人体への影響は様々であり、研究があまり進んでいない部分もあります。社会毒全般に共通しますが、フライパンについても、利便性を追求せずに昔からある鉄製のフライパンや、ステンレス製のフライパンを使う事で、これらの化学物質の影響を避けることが出来ます。
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