江戸時代までは豊かな風味とうま味の「たまり醤油」が主流だった!伝統的な作り方と工業製品の違いとは

醤油(しょうゆ)は、日本の代表的な調味料であり、多くの料理に深い風味とコクをもたらしてくれます。しかし、多くの方は江戸時代まで”たまり醤油”が醤油の主流であったことを、ご存じ無いのではないでしょうか。伝統的な発酵食品は日本人のカラダに合っていると考えられますので、古来伝統の醤油の使ってみてはいかがでしょうか。

この記事では、たまり醤油と一般的な醤油と作り方の違いを解説しています。最近ではグルテンフリー(小麦不使用)の醤油も販売されていますが、本物の醤油は、似て非なる旨味と味わいを持っています。

日本文化の結晶、たまり醤油とは?

たまり醤油は、日本の伝統的な醤油の一つであり、特有の製法と味わいを持っています。この醤油は、大豆、小麦、塩を主原料としています。まず、これらの原料を特定の割合で混ぜ合わせて醤油麹(しょうゆこうじ)を作ります。その後、水と混ぜ合わせて濃口の「生醤油」が製造されます。この生醤油を大きな木樽(たる)に入れて長期間熟成させることがたまり醤油の特徴です。

熟成期間が長いことが特徴

2年~3年の長期熟成を行うことにより、濃厚なたまり醤油が完成します。この熟成過程により、は徐々に深い色合いと複雑な香りが発生し、味わいにコクと奥行きをもたらします。長期間の熟成によって、アミノ酸や糖が分解・反応し、独自の風味と豊かな香りが生み出されます。口あたりはまろやかで、出汁のような旨味を感じることが出来ます。

醤油の歴史と江戸時代までの変遷

醤油の歴史は、約3,000年前の中国の醤(ショウ・ジャン)に遡り、日本で醤油が登場したのは室町時代とされています。これは、大豆を主体とした穀物に麹菌を生育させ、食塩水で仕込んで発酵熟成させて醤(ひしお)や味噌を造った後、食塩水などで薄めて布やザルで濾したものです。これが醤油の原型と言われています

醤油は江戸時代から盛んに作られた

江戸時代に入ると、日本全国で醤油の製造が広く行われるようになり、「たまり醤油」が特に重要な地位を占めていました。たまり醤油は、大豆、小麦、塩を主原料として長期間醸造し、木樽(たる)にたまり熟成させる伝統的な製法で作られていました。

醤油の種類と伝統的な醤油の特徴

最近では商品群が多く、スーパーでは様々な醤油が並んでします。日本農林規格(JAS)によると、醤油は「こいくち」「うすくち」「たまり」「さいしこみ」「しろ」の5種類に分類されています。また製造方法は、「本醸造」、「混合醸造」、「混合」の3つの製法があります。本醸造は伝統的な製法で作られており、原料となる大豆と小麦を時間をかけて発酵・熟成させる製造方法です。

本醸造で作られた醤油は長い時間をかけて作られるため、色、味、香りすべてにおいてバランスがとれており、料理に豊かな旨みをもたらします。一方、混合や混合醸造で作られた一般的な醤油は短期間で製造されることが多く、風味が浅く、本醸造と異なる味わいを持っています。

伝統的な醤油と工業製品の違い

伝統的な製法で作られた醤油と工業的に製造される醤油の違いは、醸造時間と原料・製法にあります。伝統的な製法で作られた醤油は通常、1年以上かけて醸造されます。たまり醤油の場合、数年から十数年もの長い期間をかけて熟成させることもあります。これに対して、工業的に製造される醤油は、わずか数か月で製造されることが多いです。また、伝統的な製法で作られた醤油は大豆、小麦、塩の割合や品質にこだわり、手間暇かけた製法で作られます。一方、工業的に製造される醤油は、大量生産を目的とした工業的な製法が一般的です。

醸造時間と味わいの違い

江戸時代において、醤油は日本の食文化において非常に重要な位置を占めていました。醤油は料理の調味料としてだけでなく、保存食や食材の風味を引き立たせる役割も果たしていました。特に、たまり醤油は江戸時代の人々に愛されており、商業や交易では高価な商品とされていました。地域ごとに個性的な味わいがあり、熟成期間が長く品質が安定しており長期間保存が可能であったことから、長距離の商取引でも重宝され、醤油の需要が増大する要因となりました。江戸時代以降も日本の食文化に深く根付き、現代でもたまり醤油は高く評価されています。伝統的な製法と長い熟成期間によって作られるたまり醤油は本物の醤油として知られ、多くの人々から愛され続けています。

原料と製法の違い

伝統的な醤油は、大豆、小麦、塩の割合や品質にこだわり、伝統的な製法を守って作られます。例えば、たまり醤油の場合、特定の割合で大豆と小麦を使用し、丁寧に麹を作り、長期間熟成させるための木樽に貯蔵します。この伝統的な製法が本物の醤油の風味や個性を形成する要因となっています。一方、工業的な醤油は、大量生産を目的とした工業的な製法が一般的です。製造プロセスは効率化され、原料の品質も異なる場合があります。これによって、工業な醤油はコストを抑えることができますが、豊かな風味や熟成の味わいがありません。

色、香り、風味の違い

伝統的な醤油は、熟成によって深い色合いを持ち、濃厚でコクのある香りを放ちます。また、味わいは非常に複雑で、塩味と甘み、うま味と苦味が絶妙に調和しています。このバランスの取れた風味が、料理に深みを与えることができます。一方、工業的な醤油は比較的明るい色合いを持ち、香りは控えめで、味わいもシンプルです。添加物やうま味調味料で味が調整されているものもあり、塩味や甘みが前面に出ることが多く、複雑な風味は感じられません。このように、醸造時間と製法の違いによって、風味や品質には大きな差があります。

たまり醤油のまとめ

たまり醤油が単なる商品名ではなく、日本伝統の醤油であることをご存じなかった方も多いと思います。さらに、江戸時代までに普及していた醤油が、たまり醤油であったことは驚きです。工業的に製造された醤油は、早く発酵させるために添加物が利用されていますし、味や風味を本物に近づけるために、添加物で加工されています。

無添加の調味料を利用することは、身体に優しいだけではなく、日本の伝統を受け継いだり、守ったり、そういった側面もあるのだと思います。

監修者
青栁 友世 tomoyo aoyagi

薬剤師歴10年・減薬歴相談5年。薬剤師、国際中医師の資格を所持。減薬と漢方相談のカウンセリングを行う『Cosmo Life Aid合同会社』代表。研究職と調剤薬局薬剤師の経験を経て、精神科薬の減薬相談や漢方カウンセリングの活動を行う。心身一如を基本とした食養生セミナー(水・塩・油)を開講。食養生の観点から無添加調味料のWebショップ『さしすせそ&』を運営。

関連記事

コメント

この記事へのコメントはありません。

CAPTCHA

TOP

サービスメニュー

◤調味料で身体を整える

水・塩・油を変えることで、あなたの身体は少しづつ変わります。さしすせそ&で本物の調味料を。
商品を見てみる